先日1年8ヶ月ぶりにコートに復帰しプエルトリコで行われた
ATPチャレンジャー・カリビアンオープン2023で優勝を果たした錦織圭。

「まずは1回勝ちたい」というご本人のコメントとは裏腹に
その予想を大きく上回り5戦を勝ち抜き戴冠。
優勝を決めた瞬間に両手を突き上げ空を仰ぐその姿にはグッとくるものがありました。

ATPチャレンジャーとはATPツアーの下部大会にあたり、
ATP1000、500、250とあるカテゴリーに次ぐグレードの大会です。

その分、獲得できるポイントや賞金はATPツアーに比べれば劣りますが、
出場している選手はカリビアンオープンに於いても世界ランク最高17位のキャリアがある
オーストラリアのB・トミックの名前もあり力のある選手が大勢出場します。

錦織選手の勇姿を2年近く見ることができず、
世界のテニスファンはその復帰を焦燥感に駆られながら首を長くして待っていた訳ですが、
ご多分に漏れずわたしもその一人でした。

あれだけの才能を持ちながら怪我に泣かされ、
もしかすると・・・なんて考えながら動向を見守っておりましたが、
芯の強さと鈍感力を伴うスケールの大きさで乗り越えるその姿に、
やはり常人ではないのだなと感じます。

そう常人ではない・・・
2008年に米のATP250グレードの大会デルレイビーチ国際にて、
当時18歳だった錦織が予選を勝ち上がり第1シードで世界ランク12位のJ・ブレーク(米)に
3-6、6-1、 6-4で逆転勝ちしATPツアー初優勝を果たした15年前、
とんでもない選手が現れたものだと驚愕したのを昨日のことのように覚えていますが、
日本人選手が18歳でATPツアーで優勝するなど夢のまた夢の話で、
スーパーサイヤ人的な感覚でした。

ポルトガルの記者がツイッターで、
「ケイ・ニシコリのフットワークの音はいまだテニス界最高の一つだ。
彼が復帰して本当に良かった!」と呟いたそうですがまさにその通りで、
生命線であるフットワークは股関節と足首の怪我を抱えていては満足なものではなく、
「あと5年ほどプレーをするとしたら股関節の手術に踏み切った方が良いと判断した」
とのご本人の弁は 妥当なものだと言えるのでしょう。

世界でも希有な才能である錦織圭のプレーを1日でも長く見たい・・・
今回の活躍でより一層その気持ちが強くなるなか、
「キュキュッ!」という小気味の良いフットワーク音を響かせ、
世界ランキング1位も記録し錦織も対戦してみたいという若手の筆頭
アルカラスと渡り合う姿が今夏のUSオープンで見られるかもしれないと思うと、
ニューヨークへ飛んでいきたい気持ちにさえなるのです。